発達障害とパーソナリティ障害

自閉スペクトラム症
(アスペルガー)

自閉スペクトラム症
(アスペルガー)とは

アスペルガー症候群とは、社会性やコミュニケーション、想像力、共感力などの障害に加えて、感覚過敏やこだわりの強さなどもみられる発達障害の一つです。
社会性やコミュニケーションに関する障害のため、周囲からの理解不足によってストレスを抱え、うつ病や強迫性障害などを発症するケースも多くあります。

自閉症スペクトラム障害の3つの特徴

周囲とのコミュニケーションの困難さ

「相手の立場に立って気持ちを汲み取る」「その場その場の空気を読む」といった行動が苦手である傾向が強いです。これらはコミュニケーションにおいて重要なことなので、それが苦手なアスペルガー症候群の人は、周囲から敬遠され、孤立しやすい傾向にあります。

毎日の生活がルーティン化されやすい

自分なりに決めた行動・習慣のルールにこだわりやすいため、日々の行動がルーティン化されやすい傾向にあります。また、いつもと違うルーティン(例:帰り道が違う、食べる順番が違うなど)に対して強い拒否反応を示す人や、予想外・想定外の出来事が起きるとパニックになる人もいます。

限定された物事に対する強い興味・
こだわり

興味が限定的である傾向も強いです。一度興味を抱いたこと・ものに対しては、時間を忘れるほど熱中するのですが、興味を抱けないことを行うのは難しい傾向にあります。

自閉症スペクトラム障害の治療・周りの人の接し方

アスペルガー症候群本人にとって、「この人は自分のことを分かってくれる」と思えるようなサポーター的存在はとても重要です。
特に、第三者の視点に立てば不適切だと思われるような言動を優しく指摘したり、苦手なことをサポートしてくれたりする人の存在は、大きな支えになります。
きちんと正しい知識を獲得し、本人に合った支援を行っていけば、今まで問題になっていた言動も改善されやすくなります。
お悩みの方はまず、当院までお気軽にご相談ください。

注意欠如多動症(ADHD)

注意欠如多動症(ADHD)とは

ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)とは、「不注意(一つのことに集中するのが困難)」「衝動性(思いついたことを即座に行動にうつしてしまう)」「多動性(じっとしていることが苦手)」などの特性を持つ、発達障害の一つです。 3つの特性の中でも多動性は、成長とともに軽減されやすい傾向にあります。

ADHD(注意欠陥・多動症)の
症状

日常生活で、以下のような特性を持つ傾向があります。

  • 会議中または授業中、落ち着かなくてソワソワ動いてしまう
  • 宿題や仕事の締め切り・納期に遅れがち
  • 「うっかりミス」が多い
  • 細かい金銭管理が苦手
  • しばしば約束を忘れてしまう
  • 集中して人の話に耳を傾けられない

など

注意欠如多動症(ADHD)の特徴

子供の頃は問題なく過ごせていた人でも、社会人になってからADHDの特徴に悩むケースはよくあります。「コミュニケーションが苦手」「ミスが多い」などの特性で悩み、適応障害やうつ病といった二次障害を引き起こすことも少なくありません。
診断するには幼少期の行動特徴を探る必要があるので、ご家族や身近な方に聞いてみるのをお勧めします。

よくある質問

ADHDは、親のしつけが悪いから起こるものでしょうか?

ADHDは、「ドーパミン」が不足することによって、起こると言われています(ドーパミンとは、行動の動機付けに関わる神経伝達物質のことです)。
しつけ方が原因で起こるものではありませんので、ご安心ください。

社会に出てからADHDに悩む方が多いのは何故でしょうか?

ADHDは近年になってから、原因が判明されるようになった障害です。特徴も一人ひとり異なります。
そのため幼少期は見過ごされ、社会人になってから発見されるケースが多いのです。

また、社会人になると「やりたくないけど、やらなければならないこと」が多くなるかと思います。
しかしADHDの方は、「お金のため」「仕事だから」と自分に言い聞かせて仕事を淡々とこなすのが苦手な傾向にあります。そのため「先延ばし」「締め切りが守れない」などのトラブルが起こりやすいのです。

小学生の子どもがいます。落ち着きがないのですが、ADHDでしょうか?

「落ち着きのなさ」が「個性」であるのか、または「障害」であるのかを見極めるには、専門的な知識が必要になります。 お子さんがADHDだと判明した際は、お子さんの強みを伸ばしながら、悩みの点も改善できるよう、様々なアドバイスをして参ります。

ADHDの治療法について知りたいです。

ADHDはドーパミンの不足によって発症します。そのため、不足分のドーパミンを補う投薬治療を行います。また、家庭・職場・学校などで過ごすのに必要なことを身につけるため、心理社会的治療を並行して実施することもあります。

パーソナリティ障害

パーソナリティ障害とは

パーソナリティ障害とは認知や価値観、感情などが大多数の人と異なることによって、本人・周囲の人が苦しんだり困ったりする障害です。
違う考えを持ちながら大多数の人とは違う認知・判断を行うことで、苦しむ方が多い傾向にあります。また、他の精神疾患も誘発しやすいことから、併発のリスクも高いとされています。

パーソナリティ障害の原因

原因は未だにはっきりとされていません。しかし、成長や発達段階に起こった苦しい体験や、成長環境によって発症するのではないかと言われています。

パーソナリティ障害の種類と症状

パーソナリティ障害は、3つのグループと10種類に分けることができます。
症状の内容も、種類によって異なります。

妄想性パーソナリティ障害

他人に対して、根拠のない妄想や警戒心を抱き続けてしまう症状です。
はっきりとした悪意や敵意を向けられたわけでもないのに、他人を信用できない気持ち・疑いの念などを常に相手へ向け、「何かしてくるのではないか」と決めつけてしまうこともあります。
警戒心や不安などを抱き続けてしまうことから、正常な人間関係が築きにくくなります。

統合失調型パーソナリティ障害

「自分は他の人と違う」と感じることから、他人と交流しないことを好んだり、他人との関係に居心地の悪さを感じたりする特徴を持っています。また、思考・認知などに歪みがあることから、奇行に走るケースも多々みられます。
現実離れした妄想や思考をすることから、人とのコミュニケーションに支障をきたすこともあります。

シゾイドパーソナリティー障害

「社会的関係から距離を取りたがる」「相手との関係構築に無関心」「感情表現が少ない」などの特徴を持っています。
「誰かと仲良くなりたい」「好きな人に近づきたい」という欲求に乏しく(または著しく低く)、孤立しやすい傾向が強いです。また相手に挑発されても、怒りの感情をあらわにすることは滅多にありません。

反社会性パーソナリティ障害

社会的損失や他人への迷惑、罪悪感などを考えずに、自分が欲していること、良いと思ったことのみを行う特徴を持っています。自分の行動で何らかの被害が発生したとしても、気にしません。
また、自分の行いによって誰かが傷ついた場合でも、自身を正当化し、決して自分が悪いと考えることはありません。

境界性パーソナリティ障害

孤独に対する恐怖感が強く、他の人からの拒絶に対して極端に恐れてしまう特徴を持っています。
本人にとって「見捨てられた」と感じる出来事(例:友人が自分との約束をキャンセルする)が起きると、激しい怒りあらわにすることもあります。
周りの評価を得て「自分は必要とされている」と実感できている時は、精神的に落ちついている傾向があります。

演技性パーソナリティ障害

人から注目されることを好むパーソナリティ障害で、注目を集めるために奇抜な行動や格好をする特徴を持っています。
注目されていない状況になると抑うつ状態に陥ることもあり、自分よりも注目を集めている人間には、挑発的な行動をとることもあります。

自己愛性パーソナリティ障害

「自分は特別だと思う」と自分自身のことを過大評価する傾向がみられる特徴を持っています。他の人を低く評価したり自分自身を大きく見せたりする特徴から、過去の実績や成果を大きく誇張することもあります。
一方、他人からのマイナスの評価には極めて敏感なので、失敗するリスクのある行動は避けることが多いようです。

強迫性パーソナリティ障害

自分の思い通りになるため、過剰なこだわりを追求してしまう特徴を持っています。
細かいところまで気にしすぎてしまったり、こだわりのあるもの以外のことを疎かにしたりする傾向もあります。
例えば仕事に対するこだわりが強い人の場合は、仕事にかかりきりになって、それ以外のこと(食事や友人との約束など)に無頓着になることもあります。

依存性パーソナリティ障害

過度に服従的になって、特定の誰かに面倒を見てもらおうとする特徴を持っています。
「世話や支援を受けたい」という思いが過剰なため、「自分で自分の面倒を見る」「自分自身の尊厳を気にする」といった行動は一切とりません。
面倒を見てほしい相手に対して、しがみつくような態度をとる傾向があります。

回避性パーソナリティ障害

他人からの拒絶・批判・紛糾に対して、強い恐怖心を抱いていることから、それらが起こり得るシチュエーションを回避しようとする傾向があります。
具体的に言いますと「他の人から批判されないよう、会議での発言を控える」「同僚に嫉妬されるのが怖いから出世を断る」など、拒絶されそうな状況をとにかく避けることが多いです。

パーソナリティ障害の検査と治療

まずは患者様のお悩みや今までの行動などを踏まえてから、診断します。
その後は治療目標を決定していきます。そこから一人ひとりの障害に考慮した心理療法・薬物療法を提案し、改善を目指します。

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